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2007年1月 9日 (火)

尾八白様♯10

その後、麻雀やらボードゲームやら色々なゲームを堪能した後、部活も無事に終了し、俺達は帰途に就いた。
それぞれがそれぞれの家に帰って行く。
暫し歩くと、俺と尾八白様は夕闇の中二人だけになっていた。
尾八白様は今日一日で疲れたのか、何も言わない。
俺もそれなりに疲れていたので、何も言わない。
必然的に、沈黙が降りる。
少しずつ家が近づいて来る。
ふいに、尾八白様が口を開く。
「今日は、とても楽しかったですね」
「ああ、そうだな」
そしてまた静寂が訪れる。
「明日は、どうする?」
「……えっ?」
少し尾八白様が驚いたよな顔をする。
「ん、どうしたのか?」
「あ、いえ……明日も、遊べるんですよね」
「ああ、勿論じゃないか、それがどうかしたのか?」
「いえ、特に深い意味はないですけど……」
そう言うと、尾八白様は俺に少しだけ過去を話してくれた。
いつも一方通行だった対人関係、一度も話した事が無い人達。
きっと尾八白様は寂しかったのだろう。
「はじめ圭一さんに話しかけられた時には……本当に夢かと思いました。でも……夢じゃないってわかった時には、本当に嬉しかったんですよ?」
いつも夢に見ていた普通の生活。友達、学校、その他諸々。
絶対に届かないと思っていた、遙か高み。
それらに届いた一日。
それらと過ごした一日。
それらを手に入れた一日。
「だから、明日があるなんて思ってもいなかったです、本当に……今日一日で充分でした……でも……明日も……あるんでしょうか」
手に入れてしまったその高み。
だから、尾八白様は怖いのだろう。
寂しさとは違う、怖さ。恐ろしさ。
今までは何も無かった、皆無だった、零だった。
だから上がる事はあっても、それ以上下がる事は無かった。
寂しくはあるが、怖くは無い。
だけれど、手に入れてしまった事で今度は落ちてしまうかもしれない。
それだから、尾八白様は怖いのだろう。
ならば、俺はこういおう。
「あるに決まってんだろ、お前が登校拒否になったって、首に縄付けて引きずって行くから覚悟しろ。勝手に消えようもんなら地獄の果てまで追いかけて行って連れ戻してやるからな!!」
「じゃあ、約束です……ちゃんと、地獄の果てまで追いかけて来てくださいね……」
「おう、嫌がったって行ってやる」
それだけいうと、尾八白様は笑った。
「じゃあ、帰るか」
「はい!」

……明日から尾八白様には、これまでの分も楽しんで貰わなきゃな!

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